その日々は確かにそこにあった。
不穏な日々を過ごす、いつも「つい一瞬、数秒前は幸せだった」と思うことがある、不穏な空気に包まれる、不穏な空気は幸せな空気になるのときと同等の刺激を心に与えてくれる。
ある日の朝、私は彼の家を訪ねてから学校に行く予定を立てて家を出た。歩いて数分で行ける距離にある彼の家に向かう、予定の時刻通りに彼の家に着いて呼び鈴を鳴らした。
「着きました」
「…」
門柱のインターホンから無言のノイズが聞こえてぷつりと切れた。少しして彼が出てきて言った。
「お前、なんてことをしてくれたんだ」
「何のことかわからない」と私
彼の話を聞く、彼の話によると、私が昨日のお昼の給食を食べなかったせいで、私が食べるはずだった給食が、ある女の子の分になってしまったというのだ。
私の給食には、少しの毒が入っていたらしく、それを私が飲まなかったせいで、他の誰かが苦しんでいる。そのような経緯だと聞かされて怒鳴られる。
怒らせてしまったことに驚き、とにかく許してもらおうと「ごめんなさい」と何度も言う私。彼は運動靴の入ったビニール製のシューズケースを振りかぶり、私のお腹を目がけて振り下ろした。
お腹にドスン…という鈍い感覚が走る。痛い、私の内臓が痛みに耐えているため、その痛みの感覚が私の知覚するところになった。
「ごめんなさい」
私が悪いのは明白だった。私が給食を食べなかったことで、私が受けるはずの毒を、誰か知らない別の人がその毒に痛めつけられている。
私はひたすらに謝った。
が、許してはもらえずこう言われた。
「腹を殴るから仰向けになれ」
私は頷いて、草むらで仰向けに寝そべる。お腹が痛むので手をあてながら。その手をどかされる、手をどかされてシューズバッグを振り下ろされる。
「ドスン!」と言う鈍い音
靴はこんなに重い物だろうか…と遠のきそうな意識の中で目を開いてた先にあるシューズバッグから人間の首が見えた。
人形か何かの首なのかな…と思う間もなく、次の殴打を受ける。シューズバッグが破けて血飛沫が飛んで頬に当たる。血は暖かだった。
私はそれから数十分の間、お腹を殴られていたようで、気付くと知らない病院に寝ていた。
目が覚めたことに気づいた看護師が私を見た。
「大変でしたね」
「あっ、ありがとうございます」…と私
看護師さんは私のベッドを押した。どこか別の部屋に移動するのかなと思いながら枕越しに景色を見ていた。
空調の効いた部屋に到着した私とベッド、私の手をとる看護師さん、気付くと私の両手は頭の上に固定されて動かせなくなっていた。
シューズバッグが見える、彼の顔も見えた、私の足を看護師さんが押さえて、シューズバッグが振り下ろされた。
何度も腹部を殴打され、鈍い痛みが私の痛覚に届かなくなる頃、私はつい数秒前の幸せだった時間を思い出していた。
不穏な日々を過ごす、いつも「つい一瞬、数秒前は幸せだった」と思うことがある、不穏な空気に包まれる、不穏な空気は幸せな空気になるのときと同等の刺激を心に与えてくれる。
ある日の朝、私は彼の家を訪ねてから学校に行く予定を立てて家を出た。歩いて数分で行ける距離にある彼の家に向かう、予定の時刻通りに彼の家に着いて呼び鈴を鳴らした。
「着きました」
「…」
門柱のインターホンから無言のノイズが聞こえてぷつりと切れた。少しして彼が出てきて言った。
「お前、なんてことをしてくれたんだ」
「何のことかわからない」と私
彼の話を聞く、彼の話によると、私が昨日のお昼の給食を食べなかったせいで、私が食べるはずだった給食が、ある女の子の分になってしまったというのだ。
私の給食には、少しの毒が入っていたらしく、それを私が飲まなかったせいで、他の誰かが苦しんでいる。そのような経緯だと聞かされて怒鳴られる。
怒らせてしまったことに驚き、とにかく許してもらおうと「ごめんなさい」と何度も言う私。彼は運動靴の入ったビニール製のシューズケースを振りかぶり、私のお腹を目がけて振り下ろした。
お腹にドスン…という鈍い感覚が走る。痛い、私の内臓が痛みに耐えているため、その痛みの感覚が私の知覚するところになった。
「ごめんなさい」
私が悪いのは明白だった。私が給食を食べなかったことで、私が受けるはずの毒を、誰か知らない別の人がその毒に痛めつけられている。
私はひたすらに謝った。
が、許してはもらえずこう言われた。
「腹を殴るから仰向けになれ」
私は頷いて、草むらで仰向けに寝そべる。お腹が痛むので手をあてながら。その手をどかされる、手をどかされてシューズバッグを振り下ろされる。
「ドスン!」と言う鈍い音
靴はこんなに重い物だろうか…と遠のきそうな意識の中で目を開いてた先にあるシューズバッグから人間の首が見えた。
人形か何かの首なのかな…と思う間もなく、次の殴打を受ける。シューズバッグが破けて血飛沫が飛んで頬に当たる。血は暖かだった。
私はそれから数十分の間、お腹を殴られていたようで、気付くと知らない病院に寝ていた。
目が覚めたことに気づいた看護師が私を見た。
「大変でしたね」
「あっ、ありがとうございます」…と私
看護師さんは私のベッドを押した。どこか別の部屋に移動するのかなと思いながら枕越しに景色を見ていた。
空調の効いた部屋に到着した私とベッド、私の手をとる看護師さん、気付くと私の両手は頭の上に固定されて動かせなくなっていた。
シューズバッグが見える、彼の顔も見えた、私の足を看護師さんが押さえて、シューズバッグが振り下ろされた。
何度も腹部を殴打され、鈍い痛みが私の痛覚に届かなくなる頃、私はつい数秒前の幸せだった時間を思い出していた。