いつも歩く商店街のはずれにそのお店はあった。何も売っていないかのように見えるお店、私はそれを「お店屋さん」と呼んでいた。
ことの始まりは私が小学校低学年のときのことだった。虫取り網で捕まえたトンボを持ってお店屋さんに持っていった。お店屋さんの彼は、今日の私が朝何時に起きて、虫取り網を抱えて裏山に行き、どんな経緯でトンボを手に収めたか。そんな取り止めのない私の話を彼は穏やかな表情で、笑うでもなく澄ますでもなく、とにかく平坦な素顔でいてくれた、聞いてくれた。
今日、お店屋さんに彼はいるだろうか。精一杯の気持ちで焼いたカスタードプリンを持って私はお店屋さんに向かう。お店屋さんの彼は、そんな私を昔から変わらぬ素顔で迎えてくれた。
ことの始まりは私が小学校低学年のときのことだった。虫取り網で捕まえたトンボを持ってお店屋さんに持っていった。お店屋さんの彼は、今日の私が朝何時に起きて、虫取り網を抱えて裏山に行き、どんな経緯でトンボを手に収めたか。そんな取り止めのない私の話を彼は穏やかな表情で、笑うでもなく澄ますでもなく、とにかく平坦な素顔でいてくれた、聞いてくれた。
今日、お店屋さんに彼はいるだろうか。精一杯の気持ちで焼いたカスタードプリンを持って私はお店屋さんに向かう。お店屋さんの彼は、そんな私を昔から変わらぬ素顔で迎えてくれた。