進まなくてはならない、そして目を開けなければならない。
藪の中を進む、足を前に踏み出して進む、目を見開くと藪の中から無数の棘に襲われ、痛みに耐えかねて目を閉じる。目を閉じて藪の先に進むことを放棄する。視界から藪も空も泥の地面も消え、歩を進められなくなる。
「安全じゃないか」
なにも、周りの皆が藪の中を進むからといって、迎合することはない。藪を中を進まなくたって何も変わらない。
歩を進めなければ目を開くことができた。藪の中は動かなければ、たちまち安全な場所となる。彼はその場に座り、荷物からたこ焼きを取り出して食べることにした。
たこ焼きにソースをかけ、鰹節や青のりを振りかけて気づく。楊枝や割り箸といったものがない。
辺りの藪を見渡すと、爪楊枝の代わりになりそうな長い棘が見つかった。棘を千切って楊枝の代わりにしてたこ焼きを頬張る。美味しい、しかし、いつもと違う痺れを感じてその場にうずくまった。
胸が焼き付くような感覚と、時間の感覚を失わせるような眩暈に似た脈動が脳と思考を断ち切り、彼はうずくまった丸い姿のまま固まってしまった。
彼女は藪の中を進む。随分と大きい棘の根元は、丸く固まった彼の成れの果てだった。
藪の中を進む、足を前に踏み出して進む、目を見開くと藪の中から無数の棘に襲われ、痛みに耐えかねて目を閉じる。目を閉じて藪の先に進むことを放棄する。視界から藪も空も泥の地面も消え、歩を進められなくなる。
「安全じゃないか」
なにも、周りの皆が藪の中を進むからといって、迎合することはない。藪を中を進まなくたって何も変わらない。
歩を進めなければ目を開くことができた。藪の中は動かなければ、たちまち安全な場所となる。彼はその場に座り、荷物からたこ焼きを取り出して食べることにした。
たこ焼きにソースをかけ、鰹節や青のりを振りかけて気づく。楊枝や割り箸といったものがない。
辺りの藪を見渡すと、爪楊枝の代わりになりそうな長い棘が見つかった。棘を千切って楊枝の代わりにしてたこ焼きを頬張る。美味しい、しかし、いつもと違う痺れを感じてその場にうずくまった。
胸が焼き付くような感覚と、時間の感覚を失わせるような眩暈に似た脈動が脳と思考を断ち切り、彼はうずくまった丸い姿のまま固まってしまった。
彼女は藪の中を進む。随分と大きい棘の根元は、丸く固まった彼の成れの果てだった。